La Estación Once オンセ駅あたり

オンセ駅前が南吉は好きだった。
ブエノスっ子と田舎者が混じるところ。
無骨なヒゲ面とサラリーマンがいきかう通り。
女子学生の制服やむっちりしたおしりのジーパンがすれ違うところ。

「ディアリオ、ディアリオ」という新聞売りの少年の声
「チュウウロ、チュウロ」という佐藤菓子売りのだみ声
聴診器をぶらさげた血圧測りのインスタント看護婦さん
みんな疲れてそうでいてたくましくて

そこが地下鉄D線とA線の乗換口だが南吉は時折ここでおりて
チュロを買ったり、デルビイという煙草を買ったりした。
ここから北側に行くと中産階級街、南へ行くと人通りがひっそりとした
怪しい街並みに続いていた。

そこら辺を一人で歩いて行くと、誰かに引っ張り込まれて
それっきりもう帰ってこられないような
南吉の不思議な方向感覚
それは、上流は嫌でかといってアジアの雑踏もだめ
ちょうどこのあたりが落ち着くのであった。

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