ロミーナは時おりビーダ(人生)という言葉を使った。
それは出世とか、名誉とかに関係ない人間世界やりとりをさすようだった。
また、彼女はタンゴやルンファルド(下町言葉)について話すのが好きだ。
「お金のことを、「ギタ」っていうのよ。オンセ駅の前で売っているチュロ(砂糖菓子)には、色男という意味があり、それから女にすぐちょっかいを出す人のことをピッカロっていうの。」それをいう時にはいつも笑っていた。
興が乗ると、ギターを取り出しタンゴやフォルクローレなどを歌った。
どうも彼女は、生粋のポルテーニャ(ブエノス娘)ではなくて地方出身らしい。
タンゴを歌うときは、いろんな説明をしてくれるのにフォルクローレやチャマメーを歌い始めると彼女は音楽に入りこみ南吉を無視して歌に酔いしれていくのだった。
彼女が歌った中で、「トゥックマンの月」は、南吉にもよくわかった。
カルチャアキというところに月が出ている
そこで月に向かって歌う・・・
という詞なのだが、アジア的なところがある。
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