昨日のつづきを書きます
母は、
入退院を繰り返して、
何種類かの抗がん剤を試みたが、
効果はみられなかった。
それどころか、
肺に水が溜まってしまい、針で抜いた。
ガン宣告されて2ヶ月。ガンも姿を現してきたのだ。
そんなある日、先生から
イレッサという新薬を紹介された。
認可が下りていない薬である事
薬の今までのデータ
70%は、進行を遅らせる事ができている。
20%は、肺炎とか副作用を併発している。
10%は、即、死に至っている。
そんな説明と同時に、母の手に、薬のパンフレットが渡された。
私はビックリした。
先生、そんなにクールに言っているけど、
死 の可能性ある薬だよ。
そんな、恐ろしい薬を使用するかどうか、老人に決めろっていうの?
どうしますか?
なんて、ボケかけたお母さんに聞くの!?
お母さんは、渡されたパンフレットを、ボーっと見てた。
手は震えていた。
私…先生、よく考えて、後でお返事いたします。
と診察室を出た。
私は、お母さんにかける言葉がなかった。
お母さんは、どんな気持ちで、どんな事を思っているのか…。
涙が溢れそうになるのを、必死に堪えるのが精一杯だった。
抗がん剤治療はやめよう!
って、最初の頃言っていたような事も言えなかった。
会計を済ませて、病院を出ようとした時、
母が口火を切った
母…パセリちゃん、
イレッサ、使ってみようと思うの。
もう、手術もできないし、
点滴の抗がん剤もダメだったし。
新薬にかけるしかないかなぁと思うの。
先生に言って来て!
私…お母さん、あのね…
次の言葉が出ない。
母…言って来て。
ここで待ってるから。
こうして、母は、新薬イレッサを使う事を、自分の意志で決断した。
イレッサは、錠剤。飲むだけの薬。
だから、入院しなくてよかった。
けど、毎週検査で病院には行かなければならなかった。
私は、不満爆発。
旦那にぶつけた。
私…あなたね、毎週毎週、血を抜かれて検査検査なのよ。まるで実験台よお。お母さんがかわいそうすぎる
でも、旦那は
仕方ないだろう。
と怒鳴ってるだけ。
そうこうしているうちに、お母さんは、だんだん弱っていって、身体がフラフラするようになり、ほとんどがベッドでの生活になっていった。
食欲もなく、定期的な弁当宅配を頼んであるけど、冷蔵庫の中に溜まってた。
行った時には作ってあげるけど、食欲がなくなってきているのは確実。
それでも
母…ちゃんと食べてるわよ。
お友達が、いろいろ作って持ってきてくれるし、美味しくいただいているから大丈夫よ。
今は食べたくないけど、後でちゃんと食べるから。
(お母さん、確かに、お友達が持ってきてくれているみたい。食べてるとも言ってる。
だけど、みんな、冷蔵庫の中入ったままじゃないの。
私が用意した冷凍ご飯も一つも使われていないし)
冷蔵庫の中、捨てるものばかり。
整理しながら私は、たまらない気持ちだった。
涙が出た。
私…お母さん、栃木に行こう。
あさって、迎えに来るから、栃木に来るんだよ。
と、母の荷造りをしてしまった。
私…とりあえずは、着替えあればいいよね。
母…病院あるし、薬使ってるから、副作用とか、栃木行っちゃって、どうかなぁ。
私…栃木から、病院は私が連れて来るから大丈夫。
お母さん、絶対行くんだよ。
勝手に約束してきてしまった。
そして、帰ると旦那に頭を下げた。
私、仕事あるし、仕事の時に、お母さんの身に何かあったらごめんなさい。
でも、一人でおいておけないから。
こっちに連れてくるから。
旦那の妹にも電話をした。
妹の方は喜んでくれた。
ありがたい。と言ってくれた。
妹は静岡。
私以上に、高速とばして、母の所には来ていた。
私は、次の日、仕事から帰ると、徹夜で、母のための部屋を作った。
下の和室、私が使っていたので、荷物が大変だったけど、全部二階に上げて、母のために部屋を空けた。
そんなで寝てない事もあって、
迎えは、旦那が行ってくれた。
21年9月の事だった
すみません[m(_ _)m]
疲れたので、今日はこれまでにします。
明日に つづく です。
コメント
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芽生ママさん、
コメント、ありがとうございます
盆休みで、娘が帰って来ており、お返事遅くなりました[m(_ _)m]
母も、入退院の繰り返しをしているうちに、軽い認知症になりました。
何度でも、やさしく言ってあげるように努めていました。
すぐに忘れてしまう。
ものの有りかがわからない。
いつでも、探しものをしている。
本人が一番辛かったように思いました。
お世話する方といたしましては、気長に見守るやさしさが必要に思いました。
長くなると大変な事ですよね
人間の一番の悲しみは、永遠の別れなんですよね
誰にでも平等に訪れる避けようも無い出来事なんですよね
だからこそ残り最後の命火を大切に、悔いのない日々で過ごさせて
あげたいと思うのは自然な気持ちでしょう
パセリさんの優しさと愛情と勇気に敬意を評します
気にきいた事が言えなくてすみません
のびたさん、
本当に、健康が一番。
家族全員が、病気をする事なく、いつまでも、元気でいたいですね
ぶりかまさん、
自分だったらって考えると、
怖いです
母は、本当に凄い人だと思いました。
旦那は、自分の親だというのに…ですよね
信じられないって感じの事、多過ぎです。
ハーフさん、
ガン宣告も、イレッサの時も
本当にビックリでした。
どっちがよいのでしょうね[?]
私だったら
やっぱり、余命の事まで、ちゃんと話して欲しいと思うかなぁ。
でもさぁ
イレッサの使用は、怖いよね。
ゴクって飲んだ瞬間、死の覚悟をするみたいな
母は、本当に強い人でした。
akiさん、
イレッサ、認可の問題で、新聞やテレビで騒がれておりました。
母が亡くなってからの事でした。
あの時の母の心中を考えると、胸が痛みます。
読ませていただきました
お母様はきっとパセリさんの優しい気持ちに感謝して、最後は幸せだったと思います
イレッサは新聞とかでは見ますが、一人一人の患者さんや家族にとっては、重たい決断ですよね
健康に過ごせることに感謝です
思い出すと辛いこともいっぱいあるでしょうから、無理されないように、ご自愛ください
のりさん、
ありがとうございます
母の事を書き始めたものの、とてつもなく長い文章になってまいりました。
想定外であります。
でも、書き始めてしまったので、書いて行こうと思います。
良かったら、続けて読んで下さいね