肺ガンの母[おばあちゃん] 第５話

母は、団地に40年住んでいたが
老朽化が進み、立て替える事となった。

区画分けがされ、母の所は２区。
まず、１区の人が他の所に仮住まいをし、住んでいた所を立て替える。
そして、新筑された建物に優先的に入れた。

そして、空いている所に、２区の人も、希望をすれば入れた。

一旦、他に出て、２区の新築建物に入るのだと、希望の部屋を選べても、引っ越しは２回。
大変なので、１区の新築に希望を出した。

しかし、
希望者は多く、抽選となった。

病院の時、立ち寄る所が欲しかったのと。
長年住んだ所をなくしてしまうのは、母にとってさみしい。
母のお友達も、沢山いた。
母のため、なんとしても勝ち取りたかった。

抽選の日。
壮絶なドラマがあった。

私と主人の妹と２人で、抽選会場に行った。
私達と同じ部屋の希望者は８件。
２個のサイコロが入った筒をふり、出た目をたした数が大きい人のものとなる。

係の人が、それぞれの所に行き、たした数字のプラカードを高くあげる。

私は、怖くてできなかった。
妹に頼んだ。
出た数は６と５
11のプラカードが高々と上がった。
私と妹は、手をとって喜んだ。
やっぱり、妹に頼んで良かった～。
待てよ。12の人がいたら負け。

すると、
なんとなんと
11の人がもう一件いた。

２件のバトル
次は４と３で７
係の人が言いながら、７のプラカードをあげる。
びみょ～な数字。

はたして、もう１件の方は
５と…

２で７

もう、ドキドキ
心臓バクバク

引き分けで再バトル
神さまぁ～
祈るしかない。

１と２で３

絶望的な数字。終わった ぁ～
あぁ～。私がやれば良かった
なんて、ズルイ事を考えたりする。

所が、もう１件の方
１と１で２

うそ～。ありえなぁ～い

私達は、最低２、最高12という戦いの中、３という数字で勝利したのだ～
ヤッター[＼(^o^)／]

あとは、母の仲良しのお友達。
みんな、それぞれに勝ち取り、
みんなで、良かった良かったって、ウルウル(T^T)ものだった。

その日は、その話題で、嬉しい、美味しい乾杯をした。

そんなこんなで、闘病中に引っ越しをした。

私と母は、病院の日は、必ずそこに泊まり、
母は、昔からのお友達と、楽しいひと時を過ごしてた。
普段は、娘が、そうじや、風通しに、ちょこちょこ来てくれていて、いつでもきれいに使えるようにしてくれていた。
つづく