肺ガンの母[おばあちゃん] 第7話

年も明け、春先の検診の事。
変わりないし、このまま、様子を見ていきましょう。
と、先生から言われ嬉しかった。

その日、東京のお家で、
母がいきなり、私に携帯を差し出した。

母…パセリちゃん、こんなになっちゃったのぉ

私…お母さん、これで、写真撮れるんだよ。
撮ってあげるね。

母は、カメラモードにしてしまったのだ。
写メは、とてもよく撮れていて、
母も、満足そうに、ずっとずっと、その写メを眺めていた。

抗がん剤の副作用で、髪が抜け、丸坊主になった母だったが、
すっかり元通りに伸びたので、美容院に行って来たばっかりだった。

とっても、可愛らしく、いい感じに撮れたね。
お母さん。


帰りの車の中。
娘から電話が入る。

娘…おばあちゃん、杖忘れちゃったよ。

みんな、荷物持っていたから、
誰も、気にかけなかったのだ。
お母さんが、杖も、誰かに支えられる事もなく、
8階からエレベーターに乗り、スタスタと一人で歩いていた事に…。

おしゃべりしながら、
なんか、普通に歩いていたんだよね。

私…杖、困ったわね。

と、娘からの電話、母と代わる。

母…○○(娘)ちゃんが使うと思って置いてきたから、使っていいよ。
この次行く時まで、貸してあげるよ。

娘…私は、使わないよぉ(笑)

母…遠慮しなくていいのよ(笑)

お母さんったら…(笑)

ユーモアたっぷりの母の応対に、みんなで笑った。


お散歩も、ずいぶんの距離を歩けるようになっていた。
来た時とは違う草花や、景色、空気、出会う人とお話ししながら、散歩を楽しんだ。

母が元気になり、何よりではあったが、
私には、気掛かりな事があった。

息子が、朝の忙しい通学前に、母のお世話をしてくれている事だ。

時間ギリギリに自転車を飛ばして行く息子を、パート先のコンビニから見ていて胸が痛む。

7月半ば、私は、思い切って、転職をした。
コンビニと、もう一つのパートを止めて、フルタイム勤務にはなったが、朝、母のお世話ができる。

ところが、
帰りが遅い日もある。

ある日の事、
その日は、息子も帰りが遅くなってしまった。

家に着くと、レースのカーテンだけで、家の中は真っ暗。
テレビ画面の明かりだけがチラチラしてた。

私は、まさか、お母さんが…げっそり
と、慌てて、家に入ると、

私…お母さぁ~ん。

母…おかえり。映画館みたいでしょう。

ソファーに座ったまま笑ってる。

私…やだぁ。お母さん。電気付けましょうよ。

お母さんは、一人の時間が多くなり、寂しかったに違いないのだ。

テレビは、チャンネル変える事なく、同じチャンネルを、ただ観ている。
電源入れて、そのままのチャンネル。

だから、
お母さん、人形劇ですけど…。
みたいな。

F1なんか、かかってますけど、興味あるんですかぁ。
みたいな。

私的には、
私が、平日2日休みがあり、主人が、土、日休みだし…。
と思って決めた転職。

だけど、寂しい思いをしちゃってたね。
お母さん。
つづく

コメント

ハーフさん、
亡くなった母の事を書いていますので、
この日記の中でも、
母は、確実に死んでしまいます。
さて、何話めになるのでしょうか[?]

まだ、私にもわかりません。

正直、こんなに長くするつもりはなかったのですが…。スミマセン

でも、
最後まで、書いていきますよ。

今日は、ばあちゃん、どうかなぁ…
と思いながら、ご訪問下さいねほっとした顔

パセリ 2011年08月21日

akiさん、
限界の状況の中で、決して諦めない折れない
心があったからこそ、快方にすら向かった

akiさんのおっしゃる通りだと思います。

病は気から-ですね。

パセリ 2011年08月21日

パセリさん、こんばんは~わーい(嬉しい顔)夜クローバー

お母さん、今日は元気だクローバー

日記の中では何日も経ってるけど、読んでる俺は、いつもこう思う。

パセリさん、俺、ドキドキしながら読んでる。

今日は元気クローバー

このまま元気クローバーが続きますように涙

優しさと思いやりが結晶になって、お母様を包み込んで
いたんでしょうね。

お母様も限界の状況の中で、決して諦めない折れない
心があったからこそ、快方にすら向かったのだと推察を
致します。

携わった全ての方を尊敬いたします。

そうです、何だってファイトです!!!

2011年08月21日

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