年も明け、春先の検診の事。
変わりないし、このまま、様子を見ていきましょう。
と、先生から言われ嬉しかった。
その日、東京のお家で、
母がいきなり、私に携帯を差し出した。
母…パセリちゃん、こんなになっちゃったのぉ
私…お母さん、これで、写真撮れるんだよ。
撮ってあげるね。
母は、カメラモードにしてしまったのだ。
写メは、とてもよく撮れていて、
母も、満足そうに、ずっとずっと、その写メを眺めていた。
抗がん剤の副作用で、髪が抜け、丸坊主になった母だったが、
すっかり元通りに伸びたので、美容院に行って来たばっかりだった。
とっても、可愛らしく、いい感じに撮れたね。
お母さん。
帰りの車の中。
娘から電話が入る。
娘…おばあちゃん、杖忘れちゃったよ。
みんな、荷物持っていたから、
誰も、気にかけなかったのだ。
お母さんが、杖も、誰かに支えられる事もなく、
8階からエレベーターに乗り、スタスタと一人で歩いていた事に…。
おしゃべりしながら、
なんか、普通に歩いていたんだよね。
私…杖、困ったわね。
と、娘からの電話、母と代わる。
母…○○(娘)ちゃんが使うと思って置いてきたから、使っていいよ。
この次行く時まで、貸してあげるよ。
娘…私は、使わないよぉ(笑)
母…遠慮しなくていいのよ(笑)
お母さんったら…(笑)
ユーモアたっぷりの母の応対に、みんなで笑った。
お散歩も、ずいぶんの距離を歩けるようになっていた。
来た時とは違う草花や、景色、空気、出会う人とお話ししながら、散歩を楽しんだ。
母が元気になり、何よりではあったが、
私には、気掛かりな事があった。
息子が、朝の忙しい通学前に、母のお世話をしてくれている事だ。
時間ギリギリに自転車を飛ばして行く息子を、パート先のコンビニから見ていて胸が痛む。
7月半ば、私は、思い切って、転職をした。
コンビニと、もう一つのパートを止めて、フルタイム勤務にはなったが、朝、母のお世話ができる。
ところが、
帰りが遅い日もある。
ある日の事、
その日は、息子も帰りが遅くなってしまった。
家に着くと、レースのカーテンだけで、家の中は真っ暗。
テレビ画面の明かりだけがチラチラしてた。
私は、まさか、お母さんが…
と、慌てて、家に入ると、
私…お母さぁ~ん。
母…おかえり。映画館みたいでしょう。
ソファーに座ったまま笑ってる。
私…やだぁ。お母さん。電気付けましょうよ。
お母さんは、一人の時間が多くなり、寂しかったに違いないのだ。
テレビは、チャンネル変える事なく、同じチャンネルを、ただ観ている。
電源入れて、そのままのチャンネル。
だから、
お母さん、人形劇ですけど…。
みたいな。
F1なんか、かかってますけど、興味あるんですかぁ。
みたいな。
私的には、
私が、平日2日休みがあり、主人が、土、日休みだし…。
と思って決めた転職。
だけど、寂しい思いをしちゃってたね。
お母さん。
つづく
ハーフさん、
亡くなった母の事を書いていますので、
この日記の中でも、
母は、確実に死んでしまいます。
さて、何話めになるのでしょうか[?]
まだ、私にもわかりません。
正直、こんなに長くするつもりはなかったのですが…。スミマセン
でも、
最後まで、書いていきますよ。
今日は、ばあちゃん、どうかなぁ…
と思いながら、ご訪問下さいね