イニシオーことのはじめ

ことのはじめは
マドリーのプラサ・エスパーニャだった。
北から降りてきて疲れ果てた旅で

彼はベンチに座り
ブロンズの痩せた騎士と
肥えた従卒像を見ていた

スペインの空は澄んでいて
かなしかった

そのとき二人の東洋人が
彼の前を通り過ぎた
やわらかな黒髪が
風に揺れていた

どこかで見た女が
見知らぬ女と笑っていた
彼は後を追った
久しぶりに明るい日本語が
聞きたかった

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