もう一人の俺。

あのね、俺、頭の中にもう一人の俺がいるよ。

こいつは俺の一番の話し相手で相談役。

（どうしよっかな～）っていう時に呼ばなくても現れてくれて

俺のことを一番に考えてくれて素敵なアドバイスをくれる。

俺が楽しく、楽チンでいられるように。


例えば、お仕事とかで…

うわぁ～、これやらなきゃいけないの忘れてたし～。

今から始めたら帰るの超遅くなっちゃう～。

でもこれ、ちゃんとやっとかないと後で面倒なことになるな～


（♪ つーか、お前さ、何つまんね～ことで悩んでんの？）

（あ、あのさ、これ今日中にちゃんとやらないとダメだな～って）

（♪ 適当でいいって。あのな、お前が夜遅くまでそれを必死にやったところで、世界情勢が変わるわけでもないし、つーか、宇宙とか想像してみ？な？ちっちゃいだろ？こんなこと）

（いや、でも適当はヤバいって）

（♪ つーか、大丈夫だって、バレるまでにまだ何日かあるから、俺がミラクルな言い訳考えといてやるし。形だけ終わらせとけ。つーか、お前さ、帰りにヘアワックス買うとか言ってなかった？早く帰んないと店閉まっちゃうぞ）

（そっか！♪）


『あ、じゃ俺、帰るわ』

『え？ハーフさん、さっきの終わったんスか？』

『え？終わったし、俺、寄るとこあるし、もう帰るし、はいお疲れ～♪』


………………………


っていうか、ヤバい、この前、適当にやったやつバレたし～！


説明しなきゃっ、説明しなきゃっ！

あ、アイツがなんか、いい言い訳考えてくれるって言ってたな♪


（おい、みんなに説明しなきゃなんないから、ミラクルだかなんだかの言い訳、教えてくれよ）

（♪ ………。）

（って、オイっ！何黙ってんだよ！冗談やめろよ！一流の詐欺師ばりの言い訳、早くおしえろ！）

（♪ ………。）

（オイっ！一番必要な時にシカトすんな！ふざけんな！オイっ！オイって！）


『あ、いや別に独り言、うん、わかった、今度はちゃんとやっとく……わかったって！今日中にやっとくって！』


あ～あ……やっぱし、あの時、ちゃんとやっとけば良かった…。

（♪ つーか、お前さ、過去とか振り返んのやめた方が良くね？つーか、お前さ、ダイエー寄るって言ってなかった？適当にやってさっさと帰らないと10時で閉ま…）

（うっせーーなっ！もうっ！黙れ黙れ黙れ！）









うん、この繰り返しでず～っと生きてきたよ。