『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』

本作は士郎正宗氏の漫画『攻殻機動隊』を原作としたアニメ映画で、監督には最近では、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』の総監督などを務めている、押井守氏が抜擢された。この作品は、まだインターネットが世間全体としてはあまり普及していなかった時代に、ネットワークへの接続が日常になった近未来を描いた作品として、国内外のクリエイターに大きな影響を与えた、エポックメーキングな作品となっている。有名なところで言うと、ハリウッド映画『マトリックス』の監督であるウォシャウスキー兄弟も、この作品にインスパイヤされた人物だ。

 楽しみ方としては、主人公の草薙素子が、脳と脊髄の一部を除く、ほぼ全身サイボーグ化(作中では義体化)した人間であるということを念頭においておくと良いだろう。本作は、内務省直属の攻性公安警察組織「公安9課」(通称 攻殻機動隊)の活躍を描くSF作品ではあるが、大枠は、「生命とはなにか?」「死とはなにか?」という、人類の普遍的なテーマを問うものとなっている。この、大真面目に論議すれば、哲学や宗教めいて難解になってしまうテーマを、サイボーグである主人公・素子と、電脳空間で生まれた生命体だと主張する人形使いを対比させることで、わかりやすくしていることが、本作の特徴だ。

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