「遠ざかるネバーランド」

青山円形劇場の360度パノラマ舞台の空間を初めて体験しました。
「遠ざかるネバーランド」の舞台は、ピーターパンのお話に出てくるネバーランドの島のように丘や入り江みたいに見えるセットになっていました。
まるでディズニーアトラクションのような舞台にファンタジーな世界に入ったような感じでした。

物語はファンタジーなようで、ファンタジーではなく、現実の世界のちょっと悲しい体験が織り込まれ、残酷な展開にビックリしたり、でも最後にホッと安心できる結末が待っていました。

今にも自ら命を絶とうとする少女が描いた夢のネバーランド、空を飛びたいという願望は、現実世界からの逃避、死を意味することでした。
このネバーランドで登場する人物たちは、少女の悲しい思い出を忘れるために描かれたネバーランドの住人たちで、一見明るそうな人たちですが、その根底には悲しい記憶が…

ウェンディとなった少女とネバーランドの住人たちが空を飛びたいとピーターパンに願い続ける限り、少女は死から逃れられなくなるので、少女を救うために同級生の少年とティンカーベルとなった少女の母が現れて、住人たちの空を飛びたいという願望を邪魔します。

子どもたちの憧れのヒーローのピーターパンは、海賊をやっつけたりしてとてもかっこよくて、みんなの空を飛びたいという願望を大きくさせます。少年が住民たちの空を飛びたい気持ちの邪魔をしていくと、ピーターパンの様子がどんどん変わっていき、悪者の海賊たちは子どもたちや人魚の寂しい心を慰める存在になっていきます。
心を癒された子供たちやタイガーリリー、人魚、そして優しい海賊たちは、次々に残虐なピーターパンに存在を消されていきます。
ピーターパンの最大の敵のフック船長は、実は少女の父で、母のティンカーベルの味方となり、少女を死から救うために死神=ピーターパンと対決します。
死神の力は強大で、フック船長まで倒されます。空を飛びたいと願い続ける少女を救えるのは、優しい母とかつて友達だった少年のことばのみ…

そして、少女が空を飛ぶのを諦めた時、ピーターパンは倒れ、少女は現実の世界に戻ってきます。
学校の屋上で飛び降りそうになっていた少女は、彼女を迎えにきた少年の手を取り、これからも悲しみを乗り越えて生きていくために新しい一歩を踏み出します。

この舞台の面白いところは、舞台背景にも登場人物にも色がないんです。
舞台は黒で、花はシルバー塗装され、すべて衣装は白で統一されています。
現実世界の住人である少女と少年だけ、紺のブレザーの制服でした。
なぜ色がないのか…
それは、ネバーランドが少女の夢の世界であり、不安定な気持ちの表れであり、現実に存在してはいけない世界で、見る人によってそこに色が現れるようになるのかなと思いました。
ピーターパンが緑の衣装だと、本物のネバーランドのヒーローだけれど、白い服だと最初はとてもかっこいいヒーローに見えたけど、邪悪に変わった時には、実は死神とか悪魔のような存在だったように見えたのです。

キャラクターと役者のハマり具合が絶妙で、演じているのは大人の人ばかりなのに迷子たちはちゃんと子供のように見えたり、みんなお芝居がうまくて、笑わせてくれたり、泣かせてくれたりと愛すべきネバーランドの住人になりきってました。

今回、東京まで遠征した目的はピーターパンを村井良大くんが演じるからで、新春戦国鍋舞台で見た秀吉の芝居の魅力がさらに増幅されて、わざわざ東京まで見に行った価値があると思わせてくれました。
とにかく、強くて身軽でかっこいいピーターパンは当たり前!
さらに、実は死神であるという設定なので、ダークで残虐な面を見せるところが秀逸!
少年のような無邪気なヒーローから、だんだん観客にピーターパンは怪しいと思わせる不安定な状況、さらに次から次へネバーランドの住人たちを手にかけてその存在を消していく残忍さを巧みに表していく芝居の上手さに心の中で大拍手してました。
残虐な場面で見せる不敵な笑みにゾクゾクするようなかっこよさがたまらなく好きだなぁ~と感心しました。
ピーターパン大好きな迷子の少年が自分に抵抗した時、無理やりキスして思い通りにさせようとしたり、さらに抵抗されたら、少年の舌を噛み切ってしまうショッキングな場面もさらっと魅力的に演じきってしまう彼の役の掘り下げ方に惚れてしまいました。

このお芝居は、2010年に別の配役で上演され、その時は少女が主役でした。
今回、ピーターパン役村井良大主演で同じ脚本で上演されていますが、村井君の存在感の大きさで主役として舞台の真ん中にいて説得力がありました。
久々に私を満足させてくれる面白い役者を見つけたので、今後の彼の活躍を期待して見守り続けたいと思います。

コメント

viviさん

はーい!イケメンではないですが…若い男子と青山で観劇&デートしてきました!
表参道のお洒落なカフェでパンケーキランチしてきましよ(^^)v

戦国鍋舞台上映会、良席ゲットできたから楽しみですね(*^_^*)

バタコ 2011年05月06日

遠征お疲れ様でした。

バタコ家のイケメン大学生とのデ-トも楽しかったのでは?

舞台題材はちょっと複雑ですが構成演出がなかなか面白そうですね~円形舞台も見やすくて良いですね~お芝居の上手い村井君主演なら見ごたえありそうですね~私もちょっと観たくなりましたo(*^▽^*)o~♪

私は生舞台見られなかったけど戦国鍋の上映が今からすご-く楽しみです。

vivi 2011年05月06日

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