作品。

俺、小学生の時から、恐竜がスゴい好きで。


で、図工の時間に木を電動の糸ノコで好きな形に切って、それを先生がバーナーで表面を焼いて出来上がり、みたいな、ことをした。


俺、恐竜が大好きだったから、首の細くて長～い恐竜を作った。



背中の部分がちょっと寂しかったから、三角のギザギザをたくさん入れた。



で、出来上がって、先生が一人一人の作品をみんなに見せながら、コメントをくれた。



俺の作品の番がきて、先生がパッて持って



『ハーフのは、ノコギリか。』


って。



（違っそれ恐竜だし、しかも、持ってるとこ首だし）



で、言おうと思ったら


『ギザギザも上手く出来てるな。持つ所の細い部分も折らずに上手く切ったな、うん、良く出来た』


って。



なんか、言うタイミング外したし、教室の空気も『ノコギリ上手～い』みたいな感じだし……



もう、ノコギリでいいや、って



そしたら、作ってる時にずっと横にいた友達が


『先生っ、ハーフくんのそれ、ノコギリじゃなくて恐竜ですっ』


って。



うわぁ、今、言うか～


もう、いいって～


ゴメンだけど、ものスゴい勢いで余計なお世話だし。



そしたら先生が


『え？恐竜か～？なんだハーフ、ちゃんと言わなきゃダメじゃないか』


って、俺かよ。



どこで？どこで言えば良かったんだよ。



で、先生が


『うん、ギザギザ良く出来たな、次は誰のかな』


って、短っ



不正解のノコギリの時より、正解の恐竜の時のがコメント短っ



しかも、恐竜か～、って言いながら、まだ首持ってるし。


そこ持つ所じゃないし。





で、しばらくして、作品を返してくれて、お家に持って帰っていいよ、って。



なんか、ノコギリとか言われちゃったけど、俺的には恐竜だし、机の上の恐竜図鑑の横に飾ろって。



で、お家に着いたら兄貴が先に帰ってて


『お兄ちゃんっ、これ見て』


って。



そしたら兄貴が


『え？何それ？ノコギリ？』


って。




………俺、言葉にはできない気持ちで



『……うん……ﾉｺｷﾞﾘ……。』


そしたら兄貴が


『変な形～、恐竜かと思った～』



そっち先に言え。










俺、ちょっと涙出た。

そして、もう恐竜図鑑の横に飾らなかった。