スーパーボール。

あのさ、イタズラなことって、小学１、２年生だとまだちょっとビビってやらなかったりもするんだけど

で、高学年になると『これやったらヤバいな』っていう分別もつき始めて、逆にやらなかったりする。

だから、中間の小学３年生ぐらいが一番無敵。

小学３年生、ヒト科の中では地上最強。

俺的にだけど。


で、この頃スーパーボールが流行ってた。で、友達２人と団地の公園でスーパーボールで遊んでた。みんな自分のやつを持ってた。

けど、普通にやってると飽きてきちゃって、どこまで弾むか限界にチャレンジしたくなる。

で、団地の５階に上がった。ここから地面に向かって投げたら、超弾んで戻ってくるんじゃないかって。

っていうか、下に人がいたら危ないとかは、全く考えない。

で、順番にやることになって、俺が一番だった。

もう、友達の期待に応えるように自分も落ちるぐらいの勢いで、思いっきり地面に投げた。

みんなワクワクしてスーパーボールの行方を見てた。




……………。




うん、これ、スーパーボール、弾まないとこに着地したね。


花壇とか草むらの中とか。


で、100％無くなったね。


超しょんぼりしながら
『次、誰がやる？』

って言ったら

『無くなるから、やらない』

って。


超わかりやすい返事だな、理由もハッキリしてるし。


で、また公園に戻ったんだけど、俺、友達が遊ぶのを見てるだけになった。


こうなると何を考えるかって言うと

『２人とも、無くせばいいのに』って


で、ワンバウンドキャッチしよって誘った。

２人で向かい合ってするんだけど、やりながら、だんだん距離を広げていった。


その方が、相手が強く投げるから、無くなる確率が高いから。


で、わざとエラーして『強すぎるよ～』とか言いながら、ボールを追いかけるんだけど、無くなればいいって思ってるから、追いかけるスピードが超遅い。

足は全開動いてるけど、ほぼ足踏みだし。


もう、なんか、なんちゃってムーンウォークな感じ。

でも、期待とは裏腹に花壇に当たって止まる。

仕方ないから、また次のチャンスに賭ける。


それからも遊びを変えて、いろんな罠をしかけたけど、２人共、無くさなかった。





自分が無くしてから帰るまでの３時間、顔では笑いながら、ずっと『無くせばいいのに』って思い続けたっていう



キラキラな思い出