冷静と情熱のあいだ Blu(辻仁成)

辻仁成さんは芥川賞受賞作の「海峡の光」を昔読んで印象が残ったので映画化され大ベストセラーになったこの本を手に取りました。辻仁成さんはミュージシャンとしてデビューした方でお嫁さんは中山美穂さんで有名。中山美穂さんも文句なしに良い女性と言えると思いますが辻仁成さんも負けず劣らず良い男だと僕は思います。良い男に良い女性、僕も将来きっとそうありたいもんです。
この作品は、江國香織さんとの交互の連載(辻仁成さんのあとがきでは共同作業=共作に限りなく近い感覚)としてまず雑誌に掲載され、辻さんの方の文章は「冷静と情熱のあいだ Blu」、江國さんの方は「~Rosso」として出版されました。下北沢の喫茶店で意気投合した二人は「一緒に小説を作ろう」と盛り上がり、辻さんの頭にはそのアイデアが長年忘れられず温まっていたそうです。

アメリカで生まれ、大学に入学するために日本にいた阿形順正は、卒業後イタリアに渡り、フィレンツェで絵画の修復士として、工房を取り仕切る女性の修復の先生の下で作業に取り組んでいました。芽実という彼女がいた順正ですが、彼の頭には大学時代に付き合っていたあおいという名の女性が強くありました。二人は当時、10年後フィレンツェの中心にあるドゥオモ(教会堂)で会おう、と約束していました。

ある日、順正が修復作業をしていたフランチェスコ・コッツァ(イタリアの画家)の絵が何者かによって無残に切り裂かれているのが発見されました。彼は同僚たちに対して疑心暗鬼になりましたが、犯人は分かりませんでした。
イタリアの工房に画家をしている祖父が突然訪ねてきました。彼は東京に戻ってみよう、と決めました。その後同僚の証言で、犯人は先生であるのを見た、と言われました。同僚は「君の絵に嫉妬していたんだよ」と言います。
東京へ帰ると、祖父が倒れました。日本の大学時代の友人からあおいの現在を聞かされます。あおいの意思でした。

ここから先はやっつけですが、祖父は死に、順正は今さらあおいとどうにもならないし何もするべきでないんだ、と分かりながら思い立って約束を確かめにフィレンツェに向かいます。そして―


文章や単語のチョイスが芸術的な、おしゃれよりの余韻を残します。囚人を描いた「海峡の光」の覚えている文章とはまた違って感じる気がします。
芽実のしつこさ、執着と、主人公があおい、あおい連呼して芽実をないがしろにしてて引く笑

ラストが、特に良かった。

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