前売り券。

俺、小学生の時に初めてサーカス観に行った。


親に超お願いして、友達５人だけで行かせてもらえることになった。


友達のお母さんが、前売り券を人数分買ってきてくれた。


お金を持って、その友達の家に行って、券をもらって、待ち合わせ場所と時間を決めた。

もう、スゴい楽しみで、待ち遠しかった。


当日、待ち合わせ場所に行ったら、もう３人来てて、あと一人を待ちながら、みんな超ワクワクだった。


そしたら、最後の一人が、なんかションボリしてやってきて




『券、無くしちゃった…』

って。



も～～～うっ！！


必ず一人、こういうやついるのよな～。


みんながワクワクしてる時に、もう、全身から負のオーラ放ちながら現れるやつ。



で、みんなで


『ええーーっ』
って。


なんでこんな大事な物無くすかな～。



で、こいつがお母さんに、みんな待ってるから言いに行ってきなさいって言われたみたいで


『先に行ってて、券見つかったら後から急いで行くから』

って。


で、仕方ないから、一人おいてみんなでサーカスに向かった。


でも、こいつのこと『後から来られるといいね』って気にしてたのは行く道中だけで


着いてサーカス始まったら、こいつのことなんて頭の片隅にアメーバほども残ってなかった。


で、終わってからみんなで記念にノートとシャーペンを買って、帰りの電車でも大ハシャギだった。



そしたら一人が


『〇〇君に、みんなでお金出し合って、何か買えば良かったね』

って。



遅い。


超遅い。



すっかり忘れてた。



しかも、誰一人、自分の分のノートあげるとか、言わなかった。



スゴい気まずい空気になった。



そしたら、一人が



『でも、券、無くすのが悪いんだよ』

って。



うおぉ～～


超強ぇ～～。


この空気で言っちゃう～。


デビルだ～。



でも、みんなその意見に大賛成だった。









ちなみに

『何か買えば良かったね』って言った子と

『無くすのが悪いんだよ』って言った子


同じ子なんだよね。




スゲーな、頭の中に、天使と悪魔が同居してるよ。



こういう子供って、この性格のまま育ったら、いったい今、どんな人間になってるんだろ。



なんか、想像できるわ。













だって、俺だし。