彼はサンマルコ広場の真ん中に立っていた。
青空と海の波が快い。カモメが飛んでいる。
まるで昨日のことが嘘のようだ。
スラブの重い空の下での鬱屈したコンパートメントが。
ここはイタリアだった。命が洗われるような潮風に
観光客を受け入れてやまない美しい街並み。
彼はプールの底に潜ったときのようなそう快感を感じた。
すべてブルーで透明な世界に。
彼は安い宿を探そうとしていた。
Hostalという看板に星のマークが付いている。
星1つなら15ドル程度で泊まれる。
そのとき男の歌声がした。
確か聞いた歌だ、それも日本で。
ベラ・チャオと聞こえる。
歌っているのは水路の向こうを歩いているおいぼれだ
それはパルチザンの歌だった。
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