星の瞬き

本棚にぎっちりと本たちが



押し合いへし合い 時には行儀悪いものもいるが



並んでいる



星の数と同じ数だけの命が この星に生まれ



その中のほんの一握りの人間の思いが



文字となって残されている



正しく伝わることはむしろ難しく



人一人の思いの深淵を明るみにすることはさらに難しく



本たちは その思いを語れずに埃をかぶり



むしろ それこそ誇りだといわんばかりに 存在感をかもしだす



物心ついた頃から



じっとしていられない焦燥感にかき立てられ



求めるままに求めて おくってきた生であるのだが



僕は「僕」を理解する言葉を探したかったわけではなく



いつも揺れ動く心は絶えずその言葉の棘で



大切なものを見失いがちで



あるべき僕であったり



僕らしさといったりしたものに



おどおどして おらされていただけなのかもしれない



僕は「僕」をわかりたかったのではなく



僕は「僕」を語りたかっただけなのだ



出会った時の歓びや



失った時の悲しみや



うまくいかなかった時のいらだちや



どうにもならない自分の情けなさや



その時々に感じた「僕」をそのままに伝えたかっただけなのだ



その時に生まれた「僕」を



ただ



自分の言葉で伝えたかっただけなのだ



無数の数ある星の瞬きほどであっても

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