一期一会の富士登山

東海3県の天気予報が全部晴れマークになったら、2012年9月5日以来2度目の富士登山に出かけようと春から思っていました。
8日のお昼頃の天気予報を見たら、ついに待ちに待った晴れマーク。
さっそく、じゃらんのインターネットで今晩の宿を「ルートイン富士吉田」に決め予約。
荷物を手際良く準備して、名古屋を午後6時に富士吉田目指して愛車のマジェスタで出発。
三ヶ日から、新東名高速道路を利用して、ホテルに到着したのが午後10時半でした。
1泊朝食付きで、お風呂なしで6400円です。
富士宮口登山道の山小屋は、9月7日で閉めているので、今回は15日まで営業している富士吉田口登山道のルートを利用するつもりです。
早朝から登り出せば後々楽なことは分かってるのですが、前回同様ホテルの朝食をパスして早朝から登れないのが自分です。
空を見上げると、こちらの期待に大きくはんし雲が低くどんよりした天気のため、テンションが下げ下げになってしまいました。
仕方なく今回の富士登山断念はして、五合目まで行っておみやげ売り場あたりをのぞいて帰ろうという気になって富士スバルラインで5合目に。

 

ところが五合目までの道のりで、急に雲がとれ青空の中の富士山の全景が目に入ったのです。
この天気の変化には驚かされましたね。
以前、アイドルグループのAKBもNMBもテレビ番組の企画で富士登山に挑戦する様子をやってましたが、天候を優先するより、自分達のスケジュールを優先してるので、天気の変化の激しい富士山で雨に降られ、8合目でリタイアーという結果でしたね。
アウトドアはあくまでも天候優先じゃなければいけません。

五合目に近づくと1キロ手前で交通整理のスタッフから「五合目駐車場はすでに一杯なので、このあたりに駐車して五合目まで歩いて下さい。」と言われ、1度はそこの駐車場にいれたのです。
しかししばらくすると「上の五合目駐車場が空きそうなので、希望者は車に乗車後並んで下さい。」との案内があり、15分あまりの待ち時間で五合目にある駐車場に駐車できました。 
登山の服装に着替え、登山靴を履いた後、トイレだけは行っておかないとね。

 

登山口に歩き始めたところ、「ワン、ツー、スリー」とか、「イー、アル、サン」と富士山の山頂をバックに記念撮影をしている外国人観光客の集団。
最近、テレビ番組の「YOUは何しに日本へ」で、よく富士登山が取りあげられてるので、どこかに撮影隊がいるかもしれません。
登山口には富士山保全協力金を受け取るテントとスタッフがいて、お支払いすると小さな領収書とバッチがいただけます。
その通路の反対側には、観光客用の馬が数匹待機してる様子ですね。
日本テレビのヒルナンデスでたしか小島瑠璃子ちゃんが利用してたような。
時計を見ると午前9時15分。


 
  


天気は一転、下から山頂まで見渡せるはど快晴になってきました。
1人でまだ傾斜の浅い登山道を歩き始めたところ、自分の前後から外国語が飛び交ってますね。
ここにも国際化の波が押し寄せてるんだね。
学生や、社会人の友達グループもよく見かけます。
私のように1人で登ってる男性を見かけ、「男は孤独だね。」と思いながら、よく見るとインド系の外国人でした。


 

最初は重ね着を何枚もして、少しづつ歩く度に1枚づつ脱いでいきます。
お水は500のペットボトル2本。
なくなったら山小屋で買うつもりです。
最初は、5,6人の学生グループと、追いついたり、離されたりの繰り返し。
吉田口登山道は山小屋も多く、買い物はしないものの商品の張り紙や値段を見たりするのもユニークですね。


 

ある山小屋では、「通常600円のどん兵衛が今なら400円」とか、「元気でます。リポビタンD」とか。


 
この時間、山小屋ではおふとんをテラスに干す時間なんですね。

 

五合目から山頂が見えたように、登山の途中の道から山中湖や、河口湖までがきれいに見渡せました。


 


七合目から歩きづらい溶岩のごつごつした登り坂が始まり、注意深く足を載せる岩を選んだり、時には手で岩を引き寄せてせり上がる道が延々続いているので少々気後れしてしまいます。


本八合目まで登った頃、先程までやんでいた風が急に強くなってきたのです。
先日、ダイビング仲間のM君が富士登山ツアーに参加したものの強風のため、山頂まで行けないまま下山したと聞いていたので、自分もその可能性も薄々予想してました。
この時は、太平洋側を台風14号が通過していたので、その余波もあったかもしれません。

 

自分としてはまだ午後2時だったので、山頂まで行った帰りに山小屋に宿泊する行程を計画していたのですが、前回少しも症状ががなかった高山病の初期症状も感じたので、この日は山頂に行くのを断念しました。
ホテルFの建物に入って、「予約してなくても宿泊できますか?」とお聞きしたところ大丈夫ということで手続きをして、2段ベッドの寝室に案内していただきました。

 

到着順に1番奥の場所から詰めていくようで、壁面の隣が私の場所です。
隣の人と肩が常時触れ合うほどの間隔での就寝が待っているようだね。
昔のマッチ箱のマッチ棒のようです。
どんな人が隣に来るのかなと思うこと20分後、スタッフに案内されてきたのが、東京の八王子市に住んでいると話す大学生F君。
話してみると、人なっこいキャラで、登山は高尾山に行った次に富士山に来たとか。
通路の反対側には、夫婦連れや女性を案内してるようで、そちらでも話が盛り上がっていて、槍ヶ岳とか、涸沢の山小屋の地名が聞こえて、何か良い雰囲気です。
「F君の隣にはどんな人が来るのかな?」と話していた頃、山小屋のスタッフさんが外人さん2人を連れてきました。
驚いたのは外人さんが来たことでなく、山小屋で働く若いスタッフさんがその外人さんにフランス語で流ちょうに説明したからです。
富士山でも国際化の波が押し寄せているんだね。
その内カレーの臭いが寝室に漂ってきて間もなく、スタッフガ呼びにきました。

 


この山小屋の夕食時間は午後4時です。
この山小屋の夕食はカレーと決まっているようで、ご飯の上にソーセージが2本と、小さなハンバーグが載せてありました。
おかずがたくさんあるわけでなく、スープや味噌汁があるわけでないので、ほんのわずかな時間で完食です。

 


F君はこれでは満腹になれなかったようで、厨房に他のメニューが追加注文できるか聞きに行ったところ、午後9時以降じゃないと、その注文が受けれないと言われたようです。
「それなら先ほど受け取った明日の朝食を食べたら。」と提案してみたら、「こんなとこで早弁するとは思わなかった。」と言いながらその弁当を食べてたよ。
早弁しても学校と違うので、山小屋のスタッフには怒られませんでしたね。
普通の山小屋と違いこの山小屋では、談話室もありません。
夕食後、食堂で座って話していたのですが、他の宿泊客が夕食を取るので移動すると、窓側の寒い席に追いやられる始末。
仕方ないので、寝室の所定の場所に戻らざる得ません。
F君に「深夜午前2時半に起きて、真っ暗の中御来光を見に山頂に行くの?」と聞いたところ、彼は御来光にさほどこだわりはないというので、明るくなったら一緒に山頂に行こうという話になりました。
どこにも行くところもなく、することもないので、寝るしかありません。
午後6時にして早くも就寝。

 


二度ほどトイレに立ったのですが、ここのトイレは200円を払って利用する有料トイレ。
どこかの動物園の入り口にあるようなゲートが設置されてます。
その時に、外の様子を見ると風もおさまり、雲の様子も先程とはずいぶん違ってかすみのような薄い雲が漂ってます。


午前2時半、御来光を見るために深夜山頂を目指す宿泊客を起こしにスタッフがやってきました。
寒くて足下もはっきり見えない中の登山はしないと思っていましたが、午後6時からすでに7時間あまり寝てるんですから、これからさらに2時間寝るのがもったいなく思えてきました。
持ってきた洋服を何枚も重ね着して、隣で眠ってるF君を起こし御来光を見るため登り始めました。
山頂を目指すたくさんの人のライトが暗闇の中登山道に光の帯になってます。
その光の上に、中秋の名月が輝いてます。
空気もますます薄くなり、足を一歩一歩を踏み出すのが重く、道が右にくねり左にくねる場所まで登って、息を整えてことになります。
脚力のあるF君には先に行ってもらうことにしました。
マラソン大会でも、山登りでも、苦しくなると前の女の子のお尻をみると、もうひと頑張りできます。
山頂を目指す登山者で登山道は大渋滞になり、なかなか前に進めなくなってます。
いらいらした登山者の1人の男が、「前をふさいで立ち止まっていたら、初日の出が見れんぞ。」とぐちり始める始末。
初日の出は、お正月だよ。

 

東の空が少しずつピンク色からオレンジ色に明るくなってきています。
御来光に間に合わないと何度も思った後、ようやく鳥居をくぐり遂に山頂に。

 
 


 

たくさんの人々が一斉に御来光を拝める期待を胸に東の方角を凝視しています。

 
 

 

オレンジ色の色彩が東の空に大きく広がってデジカメのシャッターを何度も切りました。
皆が皆、球体の太陽が昇って来ると信じて待っていたのに、期待に反して太陽は現れません。
こんなことってあるんですね。
真上には青空が広がり、眼下の麓まで雲もなく見渡せているこの天候で。


 
  
御来光はあきらめて、お鉢めぐりをしようと歩き始めた頃、先程までやんでいた風が急に強く吹き始めてきたのです。
先程までさほど寒さを感じてなかったのに、風の強さと共に10本の指先が凍傷になりかけてジンジン痛くなってきたのです。
剣が峰まで行けなかったのは本当に残念でしたが、今回は山頂まで来たことで満足し、下山を選択することにしました。

 
山の崖を見るとたくさんの「つらら」が。
それだけ気温が低いんだね。
山頂でF君と会えなかったのは、「一期一会」の出会いだったね。
彼のお陰で山小屋の時間を長く感じることなく過ごせました。
 


ところが須走ルートの下山道の途中で、そのF君が後ろから声をかけてくれて合流。
長い下山の道のりを会話で楽しませてくれました。
グループで旅すると、仲間内でしか話さない傾向があるけど、1人旅だからこそ出会いが待っているところがあるね。


コメント

不適切なコメントを通報する

最新ブログ

星空を見上げたくなったら。
一期一会の富士登山
野生のイルカに遭遇、串本ダイビング。
早く着きすぎた熊野花火大会バスツアー