本で泳ぎきる1213

何気ない日常の中にも秒単位でそれなりのドラマは起きている。
まず、生きていること自体がドラマなのだ。
わかっていてもやっぱり現代の高速な時間の流れに身を任せて、
とりあえず、今日も終わったと帰りに自販機で買った缶珈琲の暖かさで今日の終りを実感する。

でも、それでいい。
それがいい。
無理をせずに時間と自分自身に正々堂々と向き合う。
それが大切なのかもしれない。

今、読み終えた本。
『ふるさと銀河線 軌道春秋/髙田郁』(双葉文庫)

9編が収録された短編集。
主人公たちのドラマの中に微かに列車の音が響いている。
遠くに列車の音を聴く度にふと、
そこに乗車している名も顔も知らぬ人たちの人生を思い浮かべる。
もちろん、毎回じゃないけどね。(笑)
ただ、ふと意識が微かに聞こえる列車の音を心で聴きとる。
そんなときに思ってしまう。
たぶん、尋常な精神じゃない時なんだろうね。(苦笑)

髙田郁さんは「みをつくし料理帖」で人気作家になった人。
彼女の厳しくも優しい言葉の構成力は、活字を追いながらも彼女の心も追っているような感覚にとらわれる。
この作品も内容によっては救われない現実の中で、たくましく生きていく人たちが温かな目線で書かれている。
年末の忙しい日々に、ふとこの本を読めたことが、
ひとつの大きな気分転換になりました。

本を読み終えた幸福感に今、包まれています。

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