富士登山。知名度だけでやってくる愉快(?)な人々

富士山の富士宮五合目の駐車場に着いたのが、午前9時15分。

早朝から登るつもりで、前日西富士宮駅前のホテルに宿泊したものの、午前6時半からの朝食につられて、ホテルを出る時間を遅らせてしまったよ。



靴を登山靴にはきかえ、着替えの入ったバックパックを背負い、両手にストックを持って、登山道の入り口から歩き始めたところ、どこかの旅行会社のガイドが富士登山の参加者を集め、ミーティングが始まった様子が耳に入ってきた。

まず自己紹介のようで、その奥さん「よろしくお願いします。登山歴は今回が初めてです。」

「えっ!?」

富士山は、たくさんの人が登っているようですが、それでも標高が日本一高い山なので、登山経験ゼロは、不安材料だらけだなと思いながら、その場に足を止めることもなく先に足を進めたのです。

六合目の山小屋は「雲海莊」「宝永山荘」に到着するのに、さほど時間は必要ありませんでした。

デジカメで、写真を1,2枚撮るだけで、先を急ぐことに。

六合目から、足場が悪い斜面の道路を一歩、一歩歩いていると、後方からTシャツ1枚で、足下はクロックスというビーチサンダル履きの20代後半か、30代前半の男性が、同じように上をめざして歩いてきます。

あまりの軽装に、この近辺の山小屋で働いている人が、雑用で行き来してるんだろうなって思い、少しの

間、等間隔で歩いていました。

どんなことがきっかけで話したか忘れましたが、彼の話を聞いてみると、何の登山の準備してこなかったけど、一人で車で五合目までやってきたけど、行けるとこまで行ってみようと思ってるとこだと、彼の突拍子ない答え。

最初、七合目まで行ってみると話していた彼は、足は健脚で、私からどんどん前を歩き出して、先に新七合目の御来光山荘についてます。

そこの若い従業員と話していて、その従業員も彼を止めるどころか、時々登山靴じゃなくても山頂まで行く時もあるのような事を話したようで、それを聞いた彼は、そのクロックスで山頂目指して登り始めました。

登山道は、岩場が増え、歩きづらくなってきます。

七合目山口山荘、八合目池田館、九合目万年雪山莊は、8月いっぱいで閉めていました。

九合目を過ぎたあたりから、頂上の鳥居が目に入ってきます。

九合五勺の胸突山荘は、まだ営業してます。

山小屋の軒下で、高山病でダウンしている若い男の子が二人地面に伏してました。 

空気が薄いせいか、体が重い感じで一歩が思うように足がでません。

胸突山荘から山頂まであと一息のところ、私の少し前に、初老の男性が登ってます。すれ違う人に、みんなに話しかけてます。何言ってるかと思いきや、「自分は昨晩寝てないけど、ここにきた。」と、話してます。

体調不完全なら、やめる勇気持って下さい。

あと20メートルで頂上というところで、先程のクロックスの彼が山頂から降りてきます。

遂に、彼も頂上まで来れたようです。

話を聞くと、山頂はまだここから20分歩いた剣が峰という場所だそうで、そこまで行ってきたとのこと。

彼とは、その場所で一言、二言話して、自分もようやく頂上浅間大社奥宮に到着。

その神社から少し歩くと、周囲2.6キロメートルの大きな火口が異様な形で、目に飛び込んできました。

急勾配の坂道の横の柵をを、つかみながら剣が峰まで登ります。

富士山測候所の建物の横に、「日本最高峰」の柱。

火口の周りを歩くお鉢めぐりをして、最初の頂上浅間大社奥宮前までに来たところ、時計は午後3時20分。

下山することにしました。

登りはさほど気になりませんが、下りは浮き石やがれきに足をすくわれる恐怖心があって、他の人のように軽快に降りれません。

確実に足場を確かめながら、後ろから人がきたら先に行ってもらって、安全第一です。

九合五勺の胸突山荘から、下ろうとしたところ、麓から15人ほどの人がこの山小屋に登ってきました。

狭い道幅の隅で、彼らが通過するのを待機してます。

後ろを振り返ると、同じように下山しようとする2組の若いカップル。

「富士山に行くって話したら、家族がびっくりしていたよ。」と、彼女が男の子たちに笑顔で話してます。

足下を見ると、スニカーのような運動靴。

フード付きのウインドブレーカーは着てますが、バックパックもかばんも持っていません。

彼女を驚かそうと、思いつきで来たようです。

彼氏は大学生。

彼女は、高校生といった感じでしょうか。

登りは、若さで上がってきたようですが、下りのことも、登山の装備のことも、まったく考えていないようです。

案の定下るときに、摩擦ののきかない運動靴で、その男の子は足をとられ、尻もちを2回、3回してる始末。

女の子も、最初笑顔で「怖い!怖い!」と、大きな声で話してましたが、徐々に私との距離ができてきました。

自分が新七合目の御来光山荘あたりまで来た頃には、周りは薄暗くなってきました。

あたりが暗くなる前に、せめて六合目の雲海莊までは着きたいものです。

先程の学生カップルは、どうみても懐中電灯も持ってる様子もなく、途中の山小屋は、8月で閉まってます。

どうしたでしょうか。

唯一、新七合目の御来光山荘だけが営業してました。

たどり着けたことを祈ってます。

周りが薄暗くなり、六合目の雲海莊の屋根が見えてきて、少し気が楽になったところで、これから登山道を登ろうとする若いカップルがまた2組。

どうみても、このカップルも懐中電灯を持ってない様子。

真っ暗になるのも時間の問題。

一人の女の子は、一人遅れて、登山コースをしめしたロープをつかまりながら歩いている様子。

話し声に耳を傾けると、ハングル語です。

どうするつもりかなぁ。

そんな気持ちを抱きながら、五合目の駐車場に着いたのが午後6時30分。

すでに、真っ暗でした。

富士山という名前だけで、何の準備もしないでやってくる人、多すぎですね。

コメント

不適切なコメントを通報する

最新ブログ

星空を見上げたくなったら。
一期一会の富士登山
野生のイルカに遭遇、串本ダイビング。
早く着きすぎた熊野花火大会バスツアー